平成23年、さいたま市・・・38才の女性が交通事故で骨盤骨折を受傷。搬送先が決まらず、現場に2時間半釘付け。女性は死亡。
医師会、消防などの話し合いで、責任は消防の病院連絡の不備とされた。県は具体的な対策を提示せず。
平成25年、久喜市・・・・・75才男性が呼吸苦で119。搬送先決まらず、2時間半釘付け。男性は搬送先で死亡確認。
またも消防の病院連絡不備を指摘され、県は救急医達からの突き上げにより、「i-Padを使用した搬送先検索システムを導入する」と。。。。。。。。
さて、このi-Pad導入・・数年前に検討されていましたが、「予算がない」で延期されていました。
その他にも、現場の救急医(メディカルコントロール協議会)から、具体的な対策を検討するように県側に再三勧告してきています。
にもかかわらず、いつも「予算不足・・」を言い訳に県は対策を講じてきませんでした。
その一方、埼玉県立病院は毎年80億円の赤字を出し続けています。
この補填を県民の税金から行っているわけですが、そのほんの一部だけでも救急医療に向けてくれれば、今回のような悲劇は回避できたかも知れません。
そもそも、国内に県立病院を持つ県はいくつもありますが、県立病院が全く救急に関わっていないのは埼玉県だけです。
不採算部門とも言われる救急を民間に依存して、循環器やがんといった収益性の高い先端医療に携わっている・・・医療行政としていかがなものでしょうか?
また、患者家族の大反対にもかかわらず、岩槻の小児医療センターを新都心に移転させようとしています。
さらにさいたま赤十字病院を併合して新たな医療施設を・・・
土地購入に123億円、移転に8億円、さらにいくら必要なのでしょう???
予算が無いと言いながら、県立病院には湯水のように予算をつぎ込む実態が見えます。
志木の市民病院が小児医療を継続できなくなったときも、県はたいした補助を行いませんでした。
救急に話を戻すと、救急医療機関審査会という会議で救急告示病院を認可しています。
3年ごとの更新制です。
埼玉県のHPに議事録が掲載されていますが、書類審査だけです。
しかもその3年間の救急車受入等の実績は全く考慮されていません。
川越地区消防組合のHPには、毎年、管内の救急告示病院がそれぞれ何件の救急搬送を受け入れたか・・という実績が示されています。
埼玉医大を始め、年間1000台以上受け入れている病院もあれば、わずか数十台しか受けていない病院もあります。
おそらく、県はそういう実績には興味が無いのでしょうね。
さて・・・・・埼玉県の医療行政・・・・これで良いのでしょうか?
もっと我々の税金を効果的に使って欲しい・・と思うのは変ですか?
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やっち (火曜日, 02 4月 2013 20:49)
先生、「特ダネ」拝見させて頂きました。とても率直な意見で、アサーティブな対応で、とても大人でした。私だったら、皮肉の一つや二つは言いそうになります。
今後の関東の超高齢社会の対応や(施設入所も含めた利用者の)DNRや代理意思決定など、しっかりして頂きたいと思います。
全国で1番の高齢社会のわが秋田県では、DNRなど、全く進んでいません。死生観も世代や価値観で異なり、天寿を全うした+予後は難しいという状況の対応も全く進んでいません。
アメリカのように法律をしっかりと作っていただきたいと思います。まずは、アベノミクスの逆風にならないように、都道府県に提言していただきたい。それが、ゆくゆく国として法律として決定して頂きたい。
少産多死の時代となり、人口は減少し、良い人材は海外へ流出するので、少ない税金で賄えるよりよい社会保障制度を整え、生保にも厳酷に対応して頂く、努力している方にはしっかりとした支援を、努力しないで税金を肥やしに費やしている方には厳重な罰をお願いしたいと思います。
埼玉県の救急医療の事ですが、国民が情報リテラシーとして得るべき事を国は提言して行うべきです。
また、南海トラフ地震の首都機能不全が東京+大阪で起こることもしっかりと現実味があふれるようにして頂きたいと思います。
院長 (火曜日, 02 4月 2013 21:58)
やっちさん・・・コメントありがとうございました。まだまだ医療関係で、行政や国民に考えてほしい事が山ほどあるのに、国が決めるのは医療費削減ばかりです。
サッチャー政権でイギリスが医療費削減した時に、大量の医師がヨーロッパの他国に出て行ってしまい、イギリスの医療が崩壊したことを日本の政治家や国民は知っているのでしょうかねえ??
マスコミがしっかり、正しい情報を伝え、行政もきちんとした対応をしていただかないと、一番損をするのは国民ですね。。。。
カツオ (金曜日, 03 5月 2013 22:51)
ブログ興味深く拝見しております。
都内、埼玉県内のいくつかの救急告示(二次)病院で非常勤で当直をしていました。
救急告示病院って自治体から補助金でてるんでしょうか?
ほとんどの二次救急病院ってバイトの当直医師(昼間働いてすでに眠い、かつ翌日も常勤先で仕事、もちろん救急専門医ではない)が一人いるだけで、レントゲンも撮れないし、血液検査もできません。開業医の自宅のドアをガンガンたたいて診療してもらうのと同レベルです。
つまり一次施設なのに、二次の救急告示で認可されているってことですよね。
看護師も病棟から降りてくる一人だけですので
救急車を受け入れて夜間に緊急入院をとるなんて空気ではありません。
一旦受け入れたら、どこかに搬送が必要になった場合自分で搬送先を探すしかありません。
これがまたつらい。
そうなると最初から断ろうという考えが浮かんできてしまいます。
二次病院の救急告示を取り消して数を減らし
夜間まともにやれる施設にもっと人員&予算を集中させたほうがいいですよね。
茂吉 (土曜日, 06 7月 2013 21:24)
先生の「医療活動のあるべき姿」に愚直にしのぎ合っている姿勢に感動を
致しました。県の杓子定規な姿勢も民意(選挙?)に引っ張られ,先生の医院
を救急病院として認めるものと思います。とりあえず,埼玉県の現状認識を
県の担当者に問う事に致します。認可されるまで,志を曲げる事なくふんばって
下さい!先生みたいな情熱を持ったお医者さんがいる事にただただ感動です。
11年前に,心筋梗塞で,救急車で運ばれ,一命を取り留めた63歳の男性です。