愛読者の皆様・・・1週間ぶりのご無沙汰です。
今回は「誤診しちゃった!」の懺悔です。
ま、さんざん他の人や機関の文句言ってるので、たまには自分の懺悔も申告しなきゃフェアじゃない・・ということで、医療機関初!(じゃないかな??)自爆ブログです。
さて、この7ヶ月の間に、「治らないじゃないか!」「無いって言ったのにあったじゃないか!」etc. 何件か不満のお電話をいただきました。また、紹介受診してもらった先の病院から返事で、「診断違いました」というお手紙をいただくことも・・・・
2月14日現在、当院を受診された患者さんはついに2500人になりました。このうち、明らかに「私が悪うございました・・・すみません」という感じの・・意地悪いマスコミならすぐ、【川越救急クリニックで誤診!】っていう見出しが付きそうな方は10〜15人くらいですけど、きっと連絡が無い【患者泣き寝入り!!!】っていう題名の付きそうな方もいるでしょうから、50人として2%の誤診率ですか・・・
いや、それは良すぎですね。
そもそも医療で、正しい診断が下される割合・・ってどれくらいだと思いますか?
昔、東大の有名な外科の教授が、退官に際して自分の生涯の誤診率を計算して、14%だったと発表しました。
これってどう思いますか?
これを聞いた医師達の多くは、「そんなに少ないのか!」と驚いたそうです。
私も学生時代、盲腸(虫垂炎)の診断を付けて手術をする患者さんのうち、どれくらいの割合で本当に虫垂炎か?という講義を受けた思い出があります。
90%以上の正答率がある医師はダメだ!と習いました。それは、確実に虫垂炎とわかる患者以外は手術していない可能性が高いから・・・つまり、進行した虫垂炎しか判断できない医師とうことだそうです。
逆に50%以下は単なる藪医者だと・・・60〜70%を目指しなさい。可能なら75%正しい医師になりなさい・・と習った気がします。
そういう意味では前述の教授はさすが!と言わざるを得ません。
逆に、私の2%は・・・「アホか?」と言われる割合ですね。
でも、夜間の救急を・・しかも誰もやらない事をやっている身としては、9の感謝や賞賛があっても、1の批判があるとモチベーションを保つのが難しいです。
誤診を自覚するたび、「ああ、俺って藪だな・・」って暗くなります(数分間だけ・・笑)。
でも、これだけは言えます。
世の中の多くの医師達は、自分の目の前の患者さんに取って良い医療を提供したいと思いながら診療をしています。
決してわざと間違えたり、わざと失敗しているわけではありません。
それだけは信じてもらいたいなあ・・・・。
コメントをお書きください
長嶺@新小文字ER (水曜日, 16 2月 2011 00:46)
上原先生
誤診のお話、先生ならでは、と思います。
誤診がわかる(気にする)っていうことは、それだけ患者さんに責任をもって診療している、ということですよね。
数あまたある病気、まれにしかない病気のすべてを「一見で」見抜く、しかも数十年にわたり例外なく正診するなんて無理です。
そんな医者はいるんでしょうか?
いるとすれば、臨床から逃げている医者、じゃないでしょうか?
私も研修医によく言ってます。
「救急で来た患者さんの正診率は5割くらいで良いよ。イチローだってビックリ!だ。だけど『命に関わる病気』、そう「スクイズ」や「送りバント」は100%に近い確率で決めないとだめだよ。」と。
困っている患者さんや家族の、痛みや苦しみを一刻も早くとること、瀕死の状態の患者さんを「簡単には死なせない」ことが、医者として一番の使命なんじゃないかなあ・・・と思います。
そういう意味で、上原先生がやっておられることは神々しい!の一言です。
いろんなご意見をいただく(時にふさぎこんでしまいそうになることも・・・)ありますが、毎日毎日が勝負、頑張るしかないですね。
院長 (金曜日, 18 2月 2011 22:34)
おや、長嶺先生、すっかりブログの愛読者???(笑)
いやいや、先生に誉められると恐縮しちゃいますね・・・
でも、私も先生のご意見に賛成です。
救急患者の押し付け合いが常態化している地域では、事故が発生するのは時間の問題だな・・・と。
まあ、私が経済的に成功できれば、全国で後に続いてくれる方々が出てくるでしょうから、こんなクリニックが増えれば1次救急は充足できるのかな?・・と。
そしたら本物の告示病院は2次以上の患者さんを診れば良いので、まさに厚労省の狙いどおりになると思うんですが・・・・
6月の臨床救急医学会で発表しますから、お暇なら聞きに来て下さい。
今後もよろしくです。