最近気にしていること・・・

冬になってノロウィルスが猛威をふるい始めました。

嘔吐&下痢でひどい脱水になって来院される患者さんが多くなっています。

そういう方には点滴治療で脱水を補正することが多いのですが、個人的に最近、気にかけていることがあります。

それは、点滴のルート内に混入している空気をできるだけ追い出すことです。

 

点滴の準備をする際、輸液をルート内に満たすのですが、うまくやらないと結構小さな気泡が混ざります。

血管内に大量に空気が入ると肺に引っかかって、空気塞栓という状態になり、低酸素、あるいは血圧低下、ショック、心停止など重症な状況を招く恐れがあります。

ただ、通常点滴ルート内にある気泡程度の空気では、ほとんど影響はありませんし、気泡は時間とともに排泄されるのが普通ですので、あまり医療従事者は気にしません。

 

でも・・・一般の人にとって、血管内に気泡が入っていくのは嫌なもんだと思います。いや、我が子の点滴ルートから体内に空気が吸い込まれていく・・・なんて気が狂うくらい心配になる親御さんがたくさんいるでしょうね。

それが最近の医療従事者にはわからないのです。

おお!!医療と患者との意識の乖離がこんなところにも!!

 

ちょっと一般の方の視点に立ってみればそう思えるのに、面倒だからしない・・・医学的に意味が無いからしない・・・が医療界に横行しています。

我がクリニックは(少なくとも院長は・・)できるだけ患者さん側に近い視点で考えたいと思っています。

全国の看護師さん、点滴ルート内の空気はできるだけ追い出しましょう。

 

ちなみに・・・先天性心疾患で心臓に穴が開いている子供がいます。彼らの点滴に気泡があると、通常は肺に行くはずの気泡が心臓の穴を通って脳に行ったりする可能性があります。各医療従事者の方々、子供の点滴は特に注意ですぞ!

 

 

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コメント: 2
  • #1

    細島 (木曜日, 29 11月 2012 09:41)

    そうだったんですね。確かに気になります。。。

  • #2

    院長 (木曜日, 29 11月 2012 23:26)

    細島さん、こんにちは。私の知り合いが「院長のブログにコメントしてる細島さんのHP・・・すごいね〜。すげえ勉強になる!」と褒めておりました。私も時々拝見させていただいております。
    さて、医療と患者さんとの乖離は至る所でみられます。たとえば患者さんへの説明でも、「点滴を取らせてください」「手台を付けますから・・」
    普通の人は「点滴をする」か「点滴を刺す」ですよね。さらに「手台」ってわかりますか?手術台の横に後付けできる腕を載せる台のことです。
    医療職にとってはふつうの言葉が、実は専門語なのです。同じ様に、当たり前に行っている行為でも、普通の感覚で見ると「おかしい」「怖い」と思われる事ってたくさんあります。私を含め、もっと普通の感覚を身につけなければ、医療と患者の乖離は縮まりません。。。。。。